再解説、真、行、草、書道と茶の湯で異なる価値観(侘び茶への道とスポンサーの存在)5

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《真、行、草、書道と茶の湯で異なる価値観》5

《侘び茶への道とスポンサーの存在》

「珠光」が提唱した、それ迄の「公家」や「武士」

による、高価な「唐物」「名物」を尊ぶ「書院茶」

という「様式」「価値観」から離れ、「侘び」

「冷え枯れる」といった「不完全の美」、つまり

格式のある「書院茶」をやつし、「真、行、草」の

「草の極まり」を目指す「精神性」の高い「試み」

は「千利休」によって、更に「完成の域」に近付け

られる事になります。《つまり「侘び茶」とは明確に

「茶の湯」による、本格的な「禅哲学の追求」の領域

に入って行った「思想的契機」だと言えます。》

実際には「村田宗珠」や「千利休」の存命時代には

「侘び茶」という名称は未だなく、江戸時代に入って

からで、「千利休」の追求した「草庵の茶」こそが

「侘び茶」となります。「利休」は「国産茶器道具」を

積極的に用い、「楽茶碗」等を職人に作らせました。

輸入品道具においても「高麗茶碗」や「呂宋壺」等の

雑器として扱われる「量産品」も用い、竹使いの簡素

な道具も用いました。また、それまで「書院造」の部屋

の一部を使い「茶席」としていた「喫茶空間」を

「書院造」から独立させ、小間の茶室である「草庵」を

生みだします。こうして生まれた「侘びの茶湯座敷」は

後に「囲い」と呼ばれ、近代の「茶室」の概念の基礎と

なるのです。 「室町時代」に町衆の間に流行った「連歌」

は、その「芸道」に熱心な人達の俗称として「数奇者=

すきしゃ」と言う言葉を作りますが、それはやがて

「桃山時代」には「裕福な町衆」の間で広まる「茶の湯」

を「好む者」へと「意味変わり」をします。裕福な数奇者

の中には「超俗的」な趣味生活を享受する、隠遁者的な

「茶人」も現れ「侘び数奇者」と呼ばれ、独特の哲学を

展開する様になります。「侘び茶」の「思想」は「珠光」

なら「足利義政」、「千利休」なら「豊臣秀吉」の

「パトロン」により完成する事が出来たものです。

「千利休」を調べて行くと、「茶聖」と呼ばれる「顏」

と共に「商人」、それもかなり「やり手」の「食えぬ

商人」と言う「側面」が伺えます。諸説ある「利休」が

「秀吉」の怒りを買って「切腹」に追い込まれた「原因」

にしても、安価な道具を高額で売り私腹を肥やしたと

いう「売僧の疑い」が強いのも、大きく一因となって

いるのも濃いと思われますが、「大プロデューサー」と

して「公家や武士」の高価な「楽しみ」を、道具、様式

更には「哲学体系」を加えて「道」へと「昇華」させた

「功績」は非常に大きいものだと思えます。

「氣塾」代表 木村丈彦


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